一日の疲れを癒すはずのバスタイム。シャワーを浴びていると、足元に溜まる水の量が増え続け、ついには洗い場の排水溝から泡立った水が逆流し、浴室の床が浅いプールのようになってしまう。これは、想像するだけでも不快な状況ですが、多くの家庭で起こりうる身近なトラブルです。お風呂の排水溝から水が上がってくる場合、その犯人のほとんどは「髪の毛」と「石鹸カス」です。シャンプーや体を洗う際に抜け落ちる髪の毛は、それだけなら水の勢いで流れていきます。しかし、そこにボディソープやシャンプーの成分、皮脂汚れなどが混ざり合うと、強力な粘着剤のように髪の毛同士を絡め取り、ヘドロ状の塊を形成します。この塊が排水口の奥にある排水トラップや、その先の排水管に引っかかり、水の流れを堰き止めてしまうのです。初めは流れが少し悪い程度でも、毎日の入浴で汚れはどんどん蓄積され、やがては排水能力の限界を超えてしまいます。シャワーから出る水量に対して排水が追いつかなくなり、結果として洗い場に水が溢れ、排水溝から逆流してくるのです。また、お風呂の洗い場は、家の中でも床の位置が低い場所に設計されていることが多いため、別の場所の排水トラブルの影響を受けることもあります。例えば、キッチンや洗濯機の排水管で詰まりが発生した場合、その行き場を失った排水が、家の中で最も低い出口であるお風呂の排水溝から上がってくるというケースも少なくありません。もし、お風呂を使っていないのに排水溝から水が上がってくるようなことがあれば、それは家全体の排水系統に深刻な問題が起きているサインかもしれません。お風呂の排水口は、見えない場所で静かに汚れを溜め込む、いわばトラブルの温床です。ヘアキャッチャーのこまめな掃除はもちろんのこと、定期的なパイプクリーナーの使用で、悲劇が起こる前に汚れをリセットする習慣が大切です。
お風呂の洗い場が水浸し!髪の毛と石鹸カスという名の犯人